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サウジアラビア

サウジアラビア王国、通称サウジアラビアは、中東・西アジアに位置する絶対君主制国家。首都はリヤド。 世界2位の原油埋蔵量を持つ国であり、世界最大級の石油輸出国でもある。イスラム教最大の聖地メッカと第2のマディーナ を擁する。

世界銀行の定義では高所得国に分類され、アラブ諸国で唯一G20に加盟しているが、産業の多様性には乏しく、 天然資源開発が主要産業となっている。

サウジアラビアにおける死刑、また信教の自由・女性の人権が抑制されている状況など、欧州と異なる文化・法体制に対して国際社会 から批判もある。

アラビア半島の大部分を占め、紅海、ペルシア湾に面する。中東地域においては面積が最大級である。 北はクウェート、イラク、ヨルダン、南はイエメン、オマーン、アラブ首長国連邦、カタールと国境を接する。

かつては、イエメン、オマーン、アラブ首長国連邦との国境線は大部分が未画定であったが、2000年までにすべて画定した。 国土の大部分は砂漠で、北部にネフド砂漠、南部にルブアルハリ砂漠があり、その間をアッダハナと呼ばれる 長さ1500kmに及ぶ砂丘地帯が結ぶ。

気候は砂漠気候で夏は平均45°C、春と秋は29°Cで、冬はまれに零下になり、標高2000mの高原地帯では過去に積雪も観測されている。 ジッダやダンマーム等の沿岸部は高温多湿、リヤド等の内陸部は高温乾燥となり内陸部は昼夜の気温差が大きい。

標高1500~2200mに位置するターイフ、ハミース・ムシャイト、アブハー、バーハ等が位置する高原地帯は避暑地となり快適な気候となる。 インド洋モンスーンの影響を受けるバーハ州、アスィール州は降水量が多く、年間降水量が200㎜~500㎜に達する。

政治

政体はサウード家による絶対君主制であり、ワッハーブ主義に基づく厳格なイスラム教義を国の根幹としており政教一致体制である。 国王はワッハーブ派イマームを兼ね、要職は王族が独占している。王族の数が世界最大というギネス世界記録を持つ。 サルマーン現国王は第2世代であるが現在は第6世代まで誕生している。

建国以来、長年にわたって不文憲法を貫いていたが、ヒジュラ暦1412年シャアバーン27日に公布された統治基本法 が憲法の役割を果たすようになった。また、同時に諮問評議会法や地方行政法も発布され近代法治国家としての体裁が整えられた。

行政・立法

従来は内閣も議会も存在せず、勅令が法律公布と同義となり、行政も勅令の他、クルアーンやシャリーアに則って施行されてきたが、 統治基本法公布によって選挙が行われ、内閣に相当する閣僚評議会や国会に相当する諮問評議会、そして地方議会も設置された。ただし首相格の 閣僚評議会議長は国王の兼任である。

税制

税金のない国と言われることもあるが、実際には統治基本法にザカートが明記されており、ザカート税法の規程 が存在する。税率的にはほとんど変わらないが、サウジアラビア人にはザカート税を、外国人には所得税や人頭税を課す。 近年では消費税や水道税など新たな税が導入され王族への特権も廃止された。

司法

サウジアラビアでは宗教が法律となり、コーランに基づくイスラム法により統治が行われている。しかし、 実際は部族的慣習がそのまま社会的慣習となっているケースが多く、これが数々の矛盾を孕んでいるため、 他のイスラム圏では見られない独特の環境を生み出している。近年では、この複雑な法体系の近代化が進められ、 大幅に制度改革が実施されている。

かつては通常の警察組織とは別に、勧善懲悪委員会が厳しい取り締まりを行っており、違反者は外国人であっても 問答無用で逮捕されていた。しかし国内外でも不満の声が強くなったことに加え、改革路線を強めるムハンマド・ ビン・サルマーン皇太子の意向により宗教警察の逮捕権は縮小された。

原則的に女性と男性は完全に区別されている。公共の場所でのアバヤ、ヒジャーブ、ニカーブの着用は、 一般にサウジアラビアの習慣について語る際にしばし用いられる特徴的なことであろう。

結婚、就職、旅行など全ての行為について、女性は父またはその男兄弟、夫などの「男性保護者」の許可が必要である。 このシステムは20世紀初頭までのアジアでのいわゆる「三従」に似る。しかしながらこの制度を守っているものは実際には少なくムハンマド・ ビン・サルマーン皇太子の改革で徐々に制限が解かれている。2019年8月には男性後見人制度は実質廃止された。

酒やポルノ類の持込などに対しては、重刑が課せられる。イスラム思想に則り法整備をしており、麻薬、強姦、殺人、同性愛 においては死刑となる。また窃盗においては手首切断や、飲酒においては鞭打ち刑などの身体刑を行っている。

ムハンマドの慣例に従い、9歳女子との結婚を認めるというイスラーム法が存在するため、10歳前後での早婚も公に認められている 。

名誉殺人も存在しているとされ、認められれば罪に問われないことが多い。一例として家族を他の宗教に改宗させようとした外国人 とその家族を射殺した男は、名誉殺人と認定され無罪判決が下った。

またディーヤと呼ばれる制度があり、被害者の法定相続人が加害者を許した場合は罪に問われない。これは金銭によって示談 になった場合にも適用される。

保守的なサウジアラビアの司法制度であるが、近年になってからはさまざまな司法制度改革が行われている。 まず、建国以来、長年にわたって憲法がなかったが、1993年3月1日に公布された統治基本法が実質的な憲法となった。そして長らく シャリーアでは特許や著作権などの欧米では一般的な権利について認めていなかったが、1989年に特許と著作権に関する法律が施行され、 1990年には特許を認定する特許局が設置された。

人権

国際人権規約に批准しておらず、厳格にシャリーアを執行する姿勢に対して、欧米諸国から批判が多々ある。 しかし、批判国に対する石油輸出停止などの経済制裁をたびたび実行しているため、これらの報復を恐れて国交断絶 や経済制裁などを発動する先進国は皆無となっている。

また中東有数の親米国家であることから、アメリカ合衆国は、アメリカ中央軍の部隊を駐留させて中東の反米諸国を牽制している。

国際関係

最初に国交を結んだ国はソビエト連邦であったが、サウジアラビア王国自体は反共主義と絶対王政と神権政治であったため、 独立後、冷戦時はアメリカ合衆国や旧宗主国イギリスなどの西側諸国と緊密な関係を築き、 今日も中東最大の親米国家でアメリカの同盟国とされる。

そのため、サウジアラビアの内政を西側諸国は表立っては非難しない最大の要因となっており、外交では常に サウジアラビアの姿勢・立場を擁護しており、同様にイスラム法をめぐる人権問題が取り上げられている反米国家イランに対する対応 とは正反対となっている。

一方で湾岸協力会議やイスラム協力機構の盟主として、湾岸アラブ諸国とイスラム圏に影響力を持つことから、 ユダヤ人国家であるイスラエルを承認していなかったが、近年は国交正常化に向けた動きもある。また、 両国ともにイランと対立してアメリカやイギリスとの関係が深い共通点があることから協調することもある。

また歴史的な関係が深く、ともに王室が存在するスペインとは王室同士の交流が頻繁にあるなど、元来友好関係が深い。 タイ王国とはブルーダイヤモンド事件が起きた。

なお、日本とは1970年代に田中角栄の特使で訪問した三木武夫が、親アラブ外交を約束した際の対日石油供給制限解除以来、 日本最大の原油輸入先なこともあって経済的に密接な関係にある日本とサウジアラビアは文化が大きく異なるが関わる意志を示している。 シリアやイランとは敵対関係にある。

軍事

基本統治法33条によればサウジアラビア軍が守るべきものの優先順位は一に「イスラム教義」、二に「二聖モスク」、三番目が 「社会と祖国」であり、「国民」の防衛は含まれていない。少なくとも建前の上では、国民及びその権利を守ることを第一とした 民主国家の軍とは基本理念が異なる。

アメリカ軍と親密な関係を持ち、 湾岸戦争とイラク戦争では後方基地としての役目を担っていた。 兵器の国産を始めている。志願制であり、職業軍人により構成されている。

交通

西部にはイスラム教の2大聖地であるメッカとマディーナがあり、世界各地から巡礼者が訪れる。2007年からは非ムスリムに対しても 団体ツアーのみ観光ビザが発行されるようになった。 国営航空会社のサウジアラビア航空が世界各国を結んでいる他、外国航空会社がリヤードやジッダなどの主要都市に乗り入れている。

世界で唯一女性が自動車を運転することが禁止されていた国であるが、2017年9月に解禁される方針が発表された。 鉄道ではかつてはヒジャーズ鉄道が運行されていたが現在は廃止になっている。

経済

2015年のGDPは約6320億ドルであり、日本の近畿地方よりやや小さい経済規模である。同年の一人当たりGDPは2万138ドルである。 OPECの盟主的存在であり、石油などの天然資源の採掘と輸出が主な外貨獲得源となっているほか、これらで獲得した外貨を世界各国 で投資運用している。中央銀行は1952年に設立された通貨庁であり、政府系投資ファンドとしても知られている。

しかしながら製造業などは小規模なものしか存在せず、また巡礼者や業務渡航以外の一般観光客を受け入れていないことから、 観光業による外貨獲得も非常に低い。

この為、近年では政府主導でITなどを中心とした経済多角化を進めているが、依然として 天然資源開発関連以外の分野においては外国資本導入が進んでいない。 巡礼客のみで最低一千万人の観光客が来ていたが 2019年末観光ビザが解禁された。

金融が盛んで著名な投資家も多く、製造業においてもそれに劣らない発展をしつつある。 特に半導体も近年作り始めている。 大半は国内向けである。 そして世界最大の酪農会社も存在する。 サウジアラビアの小麦自給率は100%である。 G20の一員となっている。

水資源

サウジアラビアの水資源は、古くはオアシスなどの湧水と井戸からの取水に頼ってきた。聖地メッカではザムザムの泉と呼ばれる 湧水を頼りに定住生活が営まれてきた。1932年に300メートル以上の深井戸の掘削に成功すると化石水の採取により水の供給量 は大幅に増加し農業生産を支えている。しかし地下水資源はいずれ底を尽きるといわれている。

サウジアラビアは世界最大の海水淡水化プラント稼働国である。その多くは省エネの逆浸透法 海水淡水化プラントであり自力で建設し自国に逆浸透法膜工場をつくるなどとくにサウジ政府は力を入れている。

その88%は農業用水で残りは工業用水と飲料水に使われている。20余りの主要都市に人口の80%が集中し 、都市部ではオアシスや地下水の水源だけでは全く不足するため、海水淡水化プラントからの供給無しには生活できない。

国民

広大なアラビア半島には古来から続く無数の部族勢力が跋扈しており、サウド家による長年の中央集権化政策・部族解体政策にも 関わらずサウジアラビア人という民族意識の形成には至っていない。

部族社会が定住民だけでなく遊牧民から形成されていること、各地に点在する少数派宗教なども状況を 難しくしている。サウード家自身、中央集権化政策が頓挫するたびに部族間・宗教間のパワーバランスを権力保持に利用している。

しかしながらアラビア半島諸国の統一とオスマンへの反逆をワッハーブ運動 の名の下成功させたという点ではサウジ人という意識もあり国民国家とも呼べる。

統計局が発表した、2010年の人口統計は27,136,977人で、サウジアラビア国籍が18,707,576人と全体の69%に過ぎず、外国人が 8,429,401人となっており、総人口の31%が外国人労働者である。最も多い外国人はインド人とパキスタン人でそれぞれ130万~150万人に達する。 労働省によると、登録されている家庭内労働者120万人のうち、女性48万人がメイドとして登録されている。

言語

言語は公用語が古典アラビア語で、日常生活での共通口語は、サウジアラビアの現代口語アラビア語変種である。

宗教

宗教はイスラム教ワッハーブ派が国教である。このため、国民が他の宗教を信仰することは禁じられており、サウジアラビア国籍の取得 の際にもイスラム教への改宗が義務付けられている。西部にイスラム教の聖地であるメッカがあるため、世界各地から巡礼者が訪れるこ ともあってイスラム世界においての影響力は最も大きい。シーア派も多く存在する。

婚姻

婚姻時に改姓することはなく、夫婦別姓である。

教育

イスラム教を国教とする祭政一致国家のため宗教教育が重視されるが、自然科学や実技については不十分とされる。初等教育の段階で クルアーンの朗誦、講義を受ける。高等教育ではコンピューターや金融など第三次産業に関わるカリキュラムが組まれる 。一方、初の工科系大学であり男女共学制のサウジアラビア王立科学技術大学(英語版) (KAUST) が、2009年9月に100億ドルの基金で 設立された。

2008年10月29日、これまで女性が学ぶことが困難であった医学、経営学、外国語などを教えるサウジアラビア初の女性専用の総合大学を 創設することが国王アブドゥッラー・ビン・アブドゥルアズィーズ・アール・サウードによって決定され、リヤド郊外で起工式が行われた。

言論の不自由

インターネットの規制が厳しく、国内から海外のサイトへの接続は厳しく制限されている。国内ではアラビア語の出会い系サイトや SNSなどが運営されている。家族以外の男女は会話をすることすら禁止されているが、親族男性の代理人がメールや書き込みを 行っているという設定で女性が直接書き込んでいたりして、脱法行為的にネット上での男女交際が行われることも多い。

厳重な報道管制と言論統制が敷かれており、当局が許可した書籍でなければ販売することが出来ない。特に王族に関する批判的 な書籍は検閲で発売を禁じられる。

しかし、2007年にはサウジアラビアの女性を主人公にした小説「リヤドの女たち」の発禁処分が解かれ、ベストセラーになるなど 少しずつ自由化してきている。

文化

スポーツ

サウジアラビア国内でも他の中東諸国同様に、サッカーが圧倒的に1番人気のスポーツとなっている。1976年に創設された 『サウジ・プロフェッショナルリーグ』は、アジアの中でも非常にレベルの高いリーグとして知られており、 AFCチャンピオンズリーグにおいて、アル・ヒラルが大会最多4度の優勝を達成している。

サッカーサウジアラビア代表はアジアにおける強豪国として知られており、AFCアジアカップでは3度の優勝を誇る。 FIFAワールドカップには1994年大会で初出場して以降、完全に常連として定着しており6回の出場を果たしている。 さらにキング・ファハド・カップ(現:コンフェデレーションズカップ)では、1992年大会で準優勝に輝いている。 その他にクリケットやF1が盛んである。

メディア

1965年からテレビ放送が始まったが、宗教指導者がテレビに対して否定的見解を示しているため、近年では国営放送でも 日本のアニメを放送するなど非常に軟化した態度を示すようになったが、これに反発した宗教指導者が2001年にポケモン禁止令を出した。

派手なライフスタイルで知られる米国人のパリス・ヒルトンがサウジアラビアなどの中東でのみファッションブランドを展開し 、その店舗はイスラム教の聖地メッカにも進出しているという事実があり、一般の欧米人よりも派手で身体の露出の大きい衣服 を売り物にしたファッションブランドが女性に人気という側面がある。

またムハンマド・ビン・サルマーンは石油に代わる産業としてエンターテインメント産業を育成するため、自身の財団傘下の アニメ制作会社と日本の共同制作の劇場作品を手がけるなどしている。

映画

2018年4月20日、約35年ぶりに映画が一般向けに上映された。1980年代には、映画館を低俗で罪深いものと非難する宗教界の保守強硬派の働きかけを受け、 国内の映画館を閉鎖していた。