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シェムリアップ

シェムリアップはカンボジア北西部のシェムリアップ州の州都。 2018年の人口は13万9458人 で、同国5位。シェムリアップ州では カンボジア国内でも人口が集中し、増加の著しい地域の一つである。面積10,299㎢は国土の5.7%を占め、州の人口密度は87人/㎢で全国平均の75人/㎢ よりもやや高い。

しかし、都市的地域を少し離れると広く農村が広がっており、2013年時点の州内の農地面積は233,618haでバタンバン州に次いで広く、カンボジア の国全体のおよそ7.6%を占めている。 アンコール・ワット、アンコール・トムなどを含むアンコール遺跡群の観光拠点となっている。 日本ではシエムレアプ とも表記される。

シェムリアップ一帯は、何世紀もの間、シャムの領土かその王権の属国であった。 その後フランス軍に侵攻されたり、ベトナム軍に侵攻されたりしているが住民は抵抗し続けた。

住民は、長年の間、バリケードを築いて中心街を守らなければならなかった。シェムリアップやUNTAC平和維持部隊に 対する最後の攻撃は1993年に起こった。

政府が外国人観光客の入国を認めるようになると、多くの観光客がシェムリアップをアンコール遺跡群への拠点として 利用したため、安定した収入源が加わったこうして、20世紀の初頭に建てられたホテルが次々に再び営業を始めた。

2000年代に入っても、シェムリアップは観光の拠点都市として発展し続けており、様々な種類のレストランに加えて、 五つ星高級ホテルから5米ドルの安宿まで、あらゆる価格帯のホテルやゲストハウスが営業している。

現在、プノンペンと同様に建設ラッシュの状態にあり 、国立の巨大な博物館やコンサートホール、観光客向けの病院なども建設されている。

東南アジア最大の湖であり、世界でも有数の多様な魚類が生息するトンレサップ湖の約10キロメートル北東にあり、 アンコール・ワットの6キロメートル南である。

シェムリアップ川の両岸に広がる市街地には60,000人の住民がいる。カンボジアの他の多くの町と同じく、いくつものWat の周りに発展した村がひとまとまりになって発展してできた町である。 町の中心にはオールド・マーケットがあり、その周りをフランス植民地風の民家が取り囲んでいる。

トンレサップの湖岸に沿って、支柱で支えられた建物だけでなく、屋形船でも生活する村がいくつもあって、よく 「泳ぐ村」と呼ばれている。

例年水位が上昇する時期には、 村中総出で引っ越しをして、漁業で生計を立てるのである。また、トンレサップやその周辺の湖水に浸る地域は 魚が豊富で様々な種類の鳥が集まってくることから、 Prek Toal鳥保護区が設定されている。

経済

観光業

今なお、国内産業の中心は農林水産業にあるものの、加えて観光業に重点を置いた産業が活発化している。 カンボジアでもっともよく知られる観光資源の一つに、シェムリアップ州に存在するアンコールワット があげられるが、シェムリアップ州では、アンコールワットのほか、クメール王朝の遺跡群が多数存在するため、 周辺地域の観光業はますますの発展を見せている。

シェムリアップ州を含め、カンボジアでは、観光業の積極的な拡大と推進に力を入れている。2016年の1年間にカンボジア を訪れた外国人は5,011,712人となり、前年と比較しても5.0%の増加となった。

また、カンボジアを訪れる外国人の約88%は観光を主目的としており、こうした 外国人観光客によりもたらされた収益は2016年時点で32億1200万ドルにのぼるとの報告があるが、 この数字はカンボジアの国内総生産のおよそ16%にあたる。

シェムリアップ川沿いにあるオールド・マーケットには観光客向けの店が多数立ち並び、特産の絹織物や工芸品が玉石混交 で売られている。中には地元産でないものもある。地元産にこだわり、かつ質の高いものを求めるのであれば、 オールド・マーケットを囲むように立ち並ぶセントゥール・ダンコールやアルチザン・ダンコールなどといったヨーロッパ資本の店がある。

しかし、価格はかなり高い。東側にはプサー・ルーがあり、観光客もそれなりに訪れるが、 むしろ地元民の生活用品が中心であり観光客向けの商品は少ない。

このようにシェムリアップの市街地や、遺跡等の観光地周辺には観光関連産業の集中から、農林水産業を 従事してきた地域住民にも観光関連産業への転換の動きも見られる。

農業

トンレサップ湖周辺では、伝統的に、住民は水田での米作と漁業を生活の基盤とし、最も重要な収入源にしてきた。 シェムリアップ州全体で見ても、小規模経営の農家が多く、米を中心とした作物栽培のほか、家畜の飼養も多い。 2013年時点では、飼養頭数で比較すると、ブタが6位、牛が5位、鶏が5位、アヒルが4位などとなっている。

交通

プノンペン、ポイペトなどへのバスがある。韓国製などのエアコン付バスを使用しており、 安価で快適な移動手段である。乗客の大半は現地人が占める。バスターミナルは町の中心から東に3kmほど離れている。

プノンペンをはじめとする各地にピックアップトラックが出ている。原則として荷台 に詰め込まれることになり、観光客が利用することはまずない。

市内公共交通は全く存在しない。市内の移動は徒歩のほか、アンコール・ワット等のアンコール遺跡群への 観光はタクシー、トゥクトゥク、バイクタクシーなどを使用するか、レンタサイクル、レンタル電動スクーターを 利用するのが一般的である。

トンレサップ湖からプノンペンへ観光客向けのスピードボートがある。 市街地北西にシェムリアップ国際空港があり、アジアの各地に安い航空便が出ている。2005年には 国際線ターミナルも近代的なものに改築新装され、アメニティが充実している。

夜間の治安は良いとは言いがたく、徒歩での移動はごく短距離を除いて避けたほうが良い。信用できるバイクタクシー やトゥクトゥクを利用したほうが安全である。

建物

シェムリアップ最古の寺院の一つは Wat Bo であるが、その壁にはブッダの生涯を表現する壁画が描かれている。 Wat Thmei にはクメール・ルージュの犠牲者の遺骨を納め 、記憶にとどめるために建てられたストゥーパがある。首都プノンペンのものよりは敷地面積、規模共に小さいが こちらもキリングフィールドとして、ポルポト政権下での ジェノサイドを学ぶため多くの外国人観光客が訪れる。

市街中心部には日本のNGOが設立した小児病院があり、北東部にも、ジャヤヴァルマン7世小児科病院がある。同院は、スイス の医師ビート・リヒナーがスイスとフランスを中心に集めた寄付で設立したものであり、子供達に無料で医療を提供している。 彼はビートチェロという名前で毎週土曜日定期的にチェロのコンサートを開き、演奏を披露するとともに、 児童の衛生について講演をしている。

クメール・ルージュ体制と内戦の恐怖を記憶するもう一つの場所が、シェムリアップからアンコールへ向かう途中 にある地雷博物館である。同館の展示と管理を担当している のがアキ・ラーであり、彼はかつてクメール・ルージュと戦うべくベトナム軍に13年間にわたって所属し、戦時中は 地雷除去を担当していた。同博物館にはアキ・ラー氏が 自分で除去し、信管を抜いた地雷が数多く展示されている。

文化

カンボジアの美術や工芸や芸能は、芸術家がクメール・ルージュの殺人の犠牲者になってしまったため、 ほとんど完全に破壊されてしまった。シェムリアップでは、平和な市民社会の再建に伴い、各種の研究団体 や芸術家グループが結成され、こうした技芸を復興させている。

舞踊

カンボジア古典舞踊は、ユネスコの世界無形文化遺産に登録されている。カンボジアの舞踏には、古来より、宮廷の儀式 で舞われた王宮古典舞踏と、庶民に受け継がれた民族舞踏 の二つの流れがある。

カンボジアの宮廷古典舞踏は、アンコール時代、王や神々への祈りのために舞われ、以来王宮で 大切に保護されていたが、クメール・ルージュの弾圧の対象 となり、9割の舞踏家や楽師の命が失われ一時滅亡の危機に陥る。しかし、1980年、王室や生き残った舞踏家たちにより、 王立芸術大学が再開し、古典舞踏も蘇る。

古典舞踏の代表的な演目に「アプサラ・ダンス」があり、カンボジア舞踏を通称 アプサラ・ダンス と呼ぶこともある。アプサラの語源は、「アプサラス」という古代インド神話 に登場する天女で、天の踊り子、または、クメール王からの神への最高使者を意味する。

世界遺産アンコール・ワットの壁画の浮彫(レリーフ)にも、アプサラ(天女)の舞の 様子が無数に刻まれている。

カンボジア舞踏では、スコー・トム、スコー・トォチ、サンポー、コーン・トォチ、ロニアット・アエック (木琴)、ターケー(鰐琴)などの楽器が使われる。

影絵芝居

カンボジアでは、特に西部で、インドネシアの有名なワヤン・クリと同様の影絵芝居が行われている。シェムリアップ では、例えば Krousar Thmey Foundation の子どもたちが毎週1回、 Hotel La Noria のレストランで上演している。

現代的な話題を紹介したり盛り上げたりする目的で、登場人物や ストーリーが追加されることもある。例えば、団結とか、敬老の心とか、 児童擁護とか、エイズ撲滅といった具合である。伝統楽器によるカンボジア音楽も聴くことができる。 影絵人形は、地元の House of Peace Association がその他の物とともに製造している。