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ヴェネツィア

ヴェネツィアは、イタリア共和国北東部に位置する都市で、その周辺地域を含む人口約26万人の 基礎自治体。ヴェネト州の州都、ヴェネツィア県の県都である。ヴの表記によりベネチアと表記されることもある。

中世にはヴェネツィア共和国の首都として栄えた都市で、「アドリア海の女王」「水の都」などの別名を持つ。英語では「Venice」と呼ばれ、 これに由来して日本語でもヴェニス、ベニスと呼ばれることもある。漢字表記は勿搦癸亜, 勿搦祭亜, 勿耨茶.

都市としてのヴェネツィアは、ヴェネタ潟上の島に築かれている。 自治体としてのヴェネツィア市は、ヴェネタ潟の島々や、メストレなどの本土側も市域に含んでおり、 面積は412.54km²におよぶ。

市域に含まれる島として、本島のすぐ南にはサン・ジョルジョ・マッジョーレ島やジュデッカ島、さらに南に下ると映画『ベニスに死す』 で有名なリード島がある。また、本島のすぐ北には、墓地となっているサン・ミケーレ島、 さらに北にはヴェネツィアン・グラスで有名なムラーノ島、レース編み産業の地であるブラーノ島、そして、もっとも古い時代に栄えた トルチェッロ島がある。

都市としてのヴェネツィアは、アドリア海の最深部、ヴェネツィア湾にできた潟「ラグーナ(Laguna di Venezia または Laguna Veneta)」 の上に築かれた、運河が縦横に走る水の都である。

ヴェネツィア本島は大きな魚のような形をしており、本島全体が小さな島々からできている。その真ん中を全長約3キロにおよぶ逆S字形の 「カナル・グランデ(Canal Grande、大運河)」がヴェネツィアの北西から南東へ、市街を2つに分けながら湾曲して流れる。鉄道路線と土手を 走る車道が島々と本土を結び、ラグーナの外側の長い砂州や海岸の防波堤がこの町を海から守っている。150を超える運河が177の島々を分け、 運河には400におよぶ橋がかかる。また市街地と南端のジュデッカ島の間には幅約400メートルのジュデッカ運河がある。

地上では、迷路のように狭くて曲がりくねった路地や通りに自動車は入れず、橋も歩行者専用である。何世紀もの間市内の輸送をになったのは、 ゴンドラ(gondola)と呼ばれる手漕ぎボートであった。今は水上バスやフェリーが市民や貨物を運んでいるが、ゴンドラも観光に利用されている。

かつては海上に浮かぶ孤島であったが、オーストリア帝国治世下の1846年にイタリア本土との間に鉄道が敷かれ、のちに自動車用道路の 「リベルタ橋」も架けられ、イタリア本土との往来は容易である。ただし、ヴェネツィア本島内は自動車での移動は不可能であり、自転車 の使用も禁止されているため、車はリベルタ橋を渡ってすぐのところにある「ローマ広場」の駐車場に置いて、島内を徒歩か船舶で移動することになる。

車が入れず、一方で運河が発達していることもあり、おもな交通機関は必然的に船になる。水上タクシー、水上バス、渡し船などが運河 を用いて頻繁に運行されている。なおゴンドラと呼ばれる手漕ぎの舟がヴェネツィアでは有名だが、現在では一部の渡し船 を除き観光用途で運航されている。

交通に運河を用いた水上交通が頻繁に用いられることから、運河に面した玄関を持つ建物も多い。また警察や消防、救急輸送も車に代わり、 船舶を用いてその業務を行っている。

現代のヴェネツィアは、他地域への人口流出、水害や地盤沈下、大気や水の汚染、建造物の老朽化など多くの問題に直面している。1966年の 大水害の後には、歴史的な町を守るための国際的な運動がユネスコの主唱で組織された。

大潮、低気圧、そしてアドリア海の東南から吹く風「シロッコ(scirocco)」の3つの要因が重なると、 「アックア・アルタ」と呼ばれる異常潮位を起こす高潮がヴェネツィア湾で起こる。このとき、ヴェネツィア の街中まで水が入り込み、特に一番低い「サン・マルコ広場」は水没する。

過去に北の対岸の本土マルゲーラ地区で工業用の地下水のくみ上げが行われたことにより地盤沈下が起こり、アックア・アルタによる浸水の水位が1メートル以上になったこともある。 建造物の沈下は、地下の帯水層の流出が原因とされるため、地下水使用の制限やアルプスからの水道の導入などで対処している。さらに今後の地球温暖化 によって海面上昇が加速されることとなれば、将来ヴェネツィアの街全体がアドリア海に水没してしまうことが懸念されている。

干潟に建物を建てるため、大量の丸太の杭を打ち込みそれを建物の基礎とした。そのため、"ヴェネツィアを逆さまにすると森ができる" と言われている。こうした海底の泥岩まで達するように埋められた丸太の 林の上に、海水の波にも強い「イストリアの石」を敷いて土台とし、その上に比較的軽いレンガを漆喰で固めた壁と、 板の床を使って、3 - 4階までに限ってビルを建てているため、建物は傾くが意外に軟構造で、イタリアに多い地震でもベネツィアの ビルは倒壊したことはない。しかし、近年地盤の沈下とともに海水の波が基礎の上のレンガの部分を浸食し始めており、多くのビルが 危ない状態になってきた。

交通

水上バス

リアルト橋付近のカナル・グランデを走行する水上タクシーと水上バス 先述したとおり、島には車の乗り入れができないため、島内や島同士の連絡には水上バスがもっぱら用いられている。 島内の移動にはヴァポレットのほか徒歩、水上タクシー、さらに橋がかかっていない運河の両岸を行き来するため 渡し船がしばしば用いられる。

陸上交通

ヴェネツィアと本土の間を結ぶ自動車橋は全長が約4キロあるリベルタ橋で、それに並行して鉄道の橋が架けられている。後者が先に開業した。 リベルタ橋は後述のトラムの開業によって自動車とトラムの併用橋となった。 ローマ広場には駐車場とバスターミナルが設けられており、自動車・バスで入島するものはここでヴァポレット、フェリーなどへの 乗り換えをすることになる。

鉄道

ローマ広場からカナル・グランデを挟んだ先には、ヴェネツィア本島におけるトレニタリアのターミナル駅であるヴェネツィア・サンタ・ルチーア駅 がある。2008年には、この間にコスティトゥツィオーネ橋が架けられ、行き来が容易になった。サンタ・ルチーア駅にはユーロスター・イタリアや インターシティに代表されるローマ・ミラノなどイタリアの各地へ向かう列車、さらには近隣のオーストリア・ドイツ・スイスなどへ向かう国際列車 が発着している。

航空

ヴェネツィア本島の真北には国際空港であるヴェネツィア・テッセラ空港があり、ヴェネツィアへの空の玄関口として機能している。 空港から島へはACTV社の運行する路線バスやATVO社の運行するプルマンバス、さらにAlilaguna社の運行する水上バス を用いてアクセスすることが可能である。

またライアンエアーなど一部の格安航空会社は、ヴェネツィアから北に30キロほど進んだところにあるトレヴィーゾに設けられたトレヴィーゾ空港を ヴェネツィアの玄関口と位置づけており、同空港からローマ広場までを直接結ぶシャトルバスが設定されている。

リベルタ橋で本島のローマ広場へ自動車で渡る直前にあるトロンケット島には、大型旅客船の入港が可能な港があり、世界各地からのクルーズ客船や アドリア海沿岸の複数都市とを結ぶフェリーが発着している。

観光公害対策

2019年5月、市議会は日本でいう観光公害対策の一環として公序良俗を維持するための条例を可決、施行した。条例では、特定の場所における戸外での飲食、 噴水での水浴び、公共の場で上半身裸になることなどを禁じており、同年7月には、野外でコーヒーをドリップしていたドイツ人観光客2人に罰金刑が科せられ、 市外への退去が勧告されている。